たったのティースプーン1杯!日本は驚きの方法を宇宙で成功させました。
「宇宙から届いたお土産が、たったティースプーン1杯だった」——そう聞くと、ずいぶん少ないと思うかもしれません。でも実はこの1杯、人類が手にした中でもっとも“汚れのない”宇宙のかけらでした。今回はそんな、小さくても価値は無限大なお土産と、そこに隠されていた「海のルーツ」に迫る前編です。

宇宙の彼方まで飛んでいって、とんでもなく大事そうにお弁当箱を抱えて地球に帰ってくる小さな探査機。周りの人たちは「え、それだけ!?」と拍子抜けした顔をしていますが、箱を開けてみると、その中身は誰も見たことのない46億年前のピュアな“具”でぎっしり——実はそのお弁当箱、開ける前から科学者たちを大興奮させる代物だったのです。
そもそも何が起きたの?
初代の探査機が持ち帰ったサンプルは、耳かき5杯分ほどの量でした。それでも当時は世界初の快挙として大きなニュースになりましたが、2代目の探査機はそれを大きく上回る、ティースプーン1杯強という量を持ち帰ることに成功しています。量だけ聞くとまだまだ少なく感じるかもしれませんが、これは「味の素をひとふりした程度の重さ」しかないと言えば、そのすごさが伝わるでしょうか。
しかも今回すごいのは「量」だけではありません。採取した「方法」にも世界初の技術が使われていました。小惑星の表面は、長い年月のあいだ紫外線を浴び続けてボロボロに変質してしまっています。たとえるなら、日焼けしてボロボロになったみかんの皮のようなもの。そこで探査機は、あえて弾丸のような装置を撃ち込み、皮の内側にある変質していない「みかんの身」の部分、つまり46億年前とほとんど変わらないピュアな地下の砂を掘り起こして採取したのです。
これまで科学者たちが分析に使ってきたのは、たまたま地球に落ちてきた隕石でした。しかし隕石は、大気圏を通過する際の熱や、地球に落ちた後の風雨にさらされて、すでに本来の姿から変質してしまっています。いわば「使用感のある中古品」を基準に研究してきたようなものです。そこへ、変質する前のまっさらな「新品」のサンプルが初めて届いたわけですから、科学者たちが大慌てで教科書の内容を書き換えることになったのも当然と言えるでしょう。
つまり、46億年前の地球の生命の誕生の秘密もそこに!!ぜひポッドキャストの本編もタップして聴いてみてください。
◎はやぶさ2や宇宙の砂に興味をもっていただけたら気になるところだけパチパチっと開いて読んでみてください。
① 「宇宙の砂の写真集」が無料公開中!?
持ち帰られたサンプルは、なんと540個もの石として細かく仕分けされ、その一粒一粒がどんな形・色・成分なのかというデータベースが作られています。しかもこの記録、誰でも見られる形で公開されているのです。
一粒一粒に番号がつき、まるで宇宙から届いた砂粒の「顔写真集」のように整理されている様子は、地道な作業の積み重ねでありながら、なんともロマンを感じさせます。46億年前の砂粒が、現代の几帳面な分類作業によって、一つの壮大なアルバムになっているのです。
② 絞っても水は出ない?石の隙間に隠された「水のパーツ」
持ち帰られたサンプルからは、地球の海の起源に迫る手がかりも見つかっています。とはいえ、砂粒をぎゅっと絞ったら水がジワッと出てくる、というようなわかりやすい話ではありません。
科学者たちが注目したのは、鉱物の結晶の隙間にわずかに含まれる「水のパーツ」にあたる同位体元素です。地味で根気のいる分析作業の中から、その痕跡をひとつずつ丁寧に探し当てていく様子は、まさに執念とも言える仕事ぶりです。この分析によって、地球の海の水が、実はこうした小惑星のような天体から運ばれてきたものである可能性が、これまで以上に確からしいものとして見えてきています。
もっと知りたい方へ
今回ご紹介した探査機の詳しい情報は、JAXAやNASAの公式サイトでも紹介されています。実際のサンプルの写真や、ミッションのより詳しい記録に興味がある方は、ぜひ覗いてみてください。
次回の後編では、いよいよ生命の起源に迫る「23種類のアミノ酸」と「右手と左手のミステリー」、そしてライバルNASAの驚きのハプニングをお届けします!
それではまた、次のもっと知りたいでお会いしましょう。
